2023年8月26日開催

『今を生きる対話』何をしてもダメ?本当にそう??

開催報告

2023年8月26日にひらかれた、 『今を生きる対話』何をしてもダメ?本当にそう??の 報告です。

あの場にいなかった方にも何かが伝わることを願い、 実際の対話はもっと互いに入り混じった状態となり ましたが、シンプルな流れに書き起こしてみました。

(注※郡山対話の会は、ALPS処理水の放出には疑問を 抱いています。)


よかったらお読みください。

かおりん、ちゃんまさ、たけ

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8月24日13時に、ALPS処理水が流されました。

このタイミングで, 「何をしてもダメ?本当にそう?」というテーマに、 県内よりも県外の人が多く様々な立ち位置の16人の方 が参加されました。

それぞれの、参加動機、 「今日、あなたは何故ここに参加しましたか?」 を尋ねました。

(抜粋)
「大阪にいると情報が来ない。新聞の中のニュースの 中での出来事でしかなく、ある意味すごく他人事。 汚染水の放出モヤモヤしていた。」という声から、

「なんとなく何かがおかしいと思っていて、一方的な 感じがしている」という声。

県内に住む方や、汚染水について熱心に取組んでおられる 方からは、「疲れ切っていて、みんなに会いたかった」 「怒りが出すぎて、怒りが出すぎると言葉って出ない」の 声もありました。

「何をしてもダメ?ほんとうにそう?」この題名に 惹かれて参加した方が多かったことに、私たち 驚きもありました。

もしかしたら、この声は誰の中にも宿っている 小さな声なのかもしれません。

郡山対話の会は、
・汚染水を流す事に賛成も反対も疑問も すべての立ち位置を歓迎し、もやもやする 感情を大切にし、様々な声をお互いに出しあい 聞きあい、大きな声も小さな声も大切にしていく、
・何を話すのもアリ、話さないのもアリですという、会です。

さて、、 ここから対話スタートです。

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* <前半>

絶望や怒り、という言葉が、はじめは多く聞かれました。

「みんな声をあげません。(原発から)25キロ圏内。 自分の船をもって釣りをしている人も多い。 そういう人すら声を上げない。そういった長いものに 巻かれろっていう人たちに対しての怒りの方が、 いま私の中では一番強い。」

「スタンディング(街の中での抗議行動)しても、 人が集まらない。国に対していくら市民の声を届けても、 一切届いていないというのは重々承知で、活動してきた。」

「ユーチューブで発信するしかないかな、と思っている。 反対意見を持った方々の誹謗中傷で、僕の知り合いの ところはつぶされました。 やっていても意味がないと腰砕けになっちゃう。」

県内で語り部活動をしている方は、 「心の中で血吐きながらやっている。」 「安全と言え、と言わせるような勉強会があり、 語り部を増やしたいと思っても、大きな声で 小さな声が消されるような気がする。」と語りました。

漁民たちは、なぜ声を上げないのか?という 話題も出て、何が起こっているのかを尋ねると、 「漁民の方、生活、生業としてやっているので、 自分だけだったらいいけれども、みなさん 後継ぎがいて、ここで反対と声を上げてしまうと、 漁を続けられない状況に陥ってしまう。 もう一つは保証金をもらってしまったための 後ろめたさもある。」と聞かせてくれました。

「国や東電より、地元の人間への怒りの方が強い。 みんな声をあげない。長いものに巻かれろっていう 人たちに対しての怒りの方が、いま私の中では一番強い。」

前半の終わりにこういう声が場に置かれました。

** <対話の中盤>

対話が少しずつ深まっていく中で、こんな声が出てきました。

「自分を大事にされている子は、相手のことも 大切にできる、それが保育の基本。 (福島県民の一人として東日本大震災以降) 嘘をつかれ続けてきた、大切にされてないと 感じてきた。自分のことを大切にされていないから、 相手のことを大切にすることもできない。 それが地元の人の無関心さの根底にあるのではないか?」

こうした声をキッカケに、私たちの怒りや絶望は、 もしかしたら敵だと思っている相手の中にも (同じものが)あるのではないかというところに、 発言が変化していきました。

「東電や国、為政者の側は、 されている側の声を聴いてるの? そこを聞かずして、先走って色々してくれているのが、 ウザい。」

子どもとの関係性で日々課題になっていて、自分が 子どもにそういう事をしていないか?とふと思う事もある。 東電や国のしている事と同じようなことが、 自分の中にもあるのではないか?という気づきがありました。

休憩をはさんで、 この国の多くの人に、「自分が主権者である という自覚がない」のはなぜ?という問いが出されました。

・主権者意識を育てる環境、教育というものがない。

・批判的に物事を見る。当事者意識を持つという 訓練をする場がない。

・それをどう作り上げていくか。 ・そういう社会構造をどう突き崩していくかというのが、 これからテーマになる。

とういう、意見が出されました。

*** <そして、対話の終盤には、>

国や東電と住民の意見交換会に出てくる経産省の 説明担当者である資源エネルギー庁参事官  木野さんのことに話が及びました。

彼は、住民側が何を言っても、 「科学的に安全」と言い続けます。 高校生に汚染水の安全を伝える出前授業の担当もしています。

実は、経産省の福島県の廃炉や、復興などを担当する課で、 意思決定するという重要なトップの役割を担っている方 だそうです。

本来であれば忙しくて、出前授業などしている 暇なんかないはず。ところがトップが現場周りをしている。

意思決定。。。。。

「では、誰が意思決定してるの?」

「意思決定も骨抜きにされているんじゃないの?」

こうした仕組みが、人間を、ろう人形のように 覆ってしまっていて、木野さんも、そもそも大事に されていないんじゃないの?

そんな声が浮き彫りになりました。

私たちは皆、自分が大事にされない経験を、 いろんな場所で受けすぎ麻痺している。

もしかすると、麻痺しているから他の人に対しても そのつもりがなくて、大事にしていない。 という事が起きているのかもしれません。

その負の循環から抜け出すために私たちに 何ができるのか?

そんな中で「木野さんの声を聞いてみたい」 という声が上がってきました。

木野さんに対してだけではなく、 「相手に大切にしてもらえない時に、 もちろん傷つくのだけど、それでも自分の 傷をいやしたり、相手と対話をしていくことを 試みてみたり、持続していく。それがどうにかできないかなぁ」そんな声が上がってきました。

怒りや絶望で味方と敵に別れているところから、 双方に”人として大切にされていない”という同じ 体験に気づき、好奇心のような希望のような ものが産まれ、一人ひとりが深まる入り口に 立ったところで、3時間の終了時間を迎えました。

**** 【チェックアウト】

・「何をいってもダメなのか?というテーマ ダメじゃないって言う風に思った(涙) と声を詰まらせながら泣いていた女性がいて こちらも涙がでそうになりました。

・「まだまだ、できることがあると感じた。」 という声が出され、次の対話につながっていく 予感を共有して、今回の対話は終わりました。 ありがとうございました。

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